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引越しの思い出 その3 ノンちゃんにさよならを…後編 2

2011/04/21 Thu

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「こんなこと、あんなこと、あったでしょ♪ってお歌があるでしょう?
いつかみんな思いでになるんですね。
どんなに楽しいことも、悲しいことも…。」



街路樹の葉っぱが、はっきり葉っぱの形になった。
枝が風に揺れると、葉っぱがたくさんつながって揺れる。
葉っぱもだ。


続きものの記事です。
あくまでも、自己満足の記録であるので、おこがましいですが、
わけがわからないので、わけがわかりたいと思ってくださった方は、
引越しの思い出 その1 脱走と言わないで!
引越しの思い出 その2 外出と言ってよね。
引越しの思い出 その3 ノンちゃんにさよならを…前編
引越しの思い出 その3 ノンちゃんにさよならを…後編1
真にお手数ですが、上記のリンクをどうぞ。
私の失敗から得た教訓が、愛しい猫ちゃんとの生活の参考にでもなれば幸い…。


黒猫ノンちゃんは、きびなごを咥えた状態のままで、一部始終を見上げていた。
赤ちゃんの頃からお家の中で穏やかに育ったノンちゃんには、私としろちゃんが繰り広げている格闘の意味がわからなかったらしい。
しろちゃんに噛み付かれて、右手がしろちゃんの手から離れてしまった。
左手は離さないままなので、しろちゃんは足だけでぶら下がったままの状態になってしまった。
口に私の血をつけたままで、グロテスクなサーカスのよう。
身をよじるので、足もねじれそうだ。
考えや決心があったわけではなく、私は手を離した。
足の1本折れることがあっても…と思ってはいたが、それは私にはできないことだった。


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「なんだかママとしろパパさんが、毎日毎日相談してる。
お家がどこかに変わるらしいけど、僕も一緒に行くんだね。
そういえば、しろパパさんと僕は同じ町生まれだね。
しろパパさんも、やっぱりあの軒下で生まれたんですか?」

しろパパさんは屋根の下ですよ、野良猫ではないからね。
「えーっ、しろパパさんは野良猫さんではなかったって?
僕、がっかりだな

脱走1ヶ月半前のしろちゃん。


庭越しにはす向かいなのだが、引越す前の我が家からは物置の死角に入ってみえないお宅に、しろちゃんは走り入りこんだ。
門から入りこんで、庭に回り、縁の下で私に持たれた足を毛づくろい。
反対側の庭に回って、落ち着いて腰を下ろした。
よくよく見れば、しろちゃんの左右のお腹も顔も耳も土汚れで真っ黒。
つい今朝まで、自分のベッドの中で一緒に眠っていた白い息子。
お風呂にこそ入らないが、小さな汚れがついても、その都度拭ってやっていた白い一人息子が、汚れで真っ黒。
汚れは拭えば落ちるが、その様子に私は落胆。
しろちゃんが私の腕の中から遠く去って、他人になったように思えた。
現に去っていたのだが…。


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「どこに行くのか僕にはわからないけど、
ちゃんと説明はあるんでしょうね、ママ。
猫だって、聞けばわかるんですから!」

脱走1ヶ月半前のしろちゃん。


Mさんが、庭のフェンス越しに、ノンちゃんのキャリーを手渡してくれた。
キャリーのドアを開けて、きびなごを入れて道路で待つ。
もしかして、しろちゃんはこのはす向かいの家に馴染みがある?
もちろん、その付近の元野良猫なのだから、入ったことがあっても当然だが、あまりにも勝手知ったる動きに、私はあることを思った。
しろちゃんは、この家で生まれたのではないかと。
この家の軒下で、猫母さんから生まれたのかもしれないと。
その猫母さんは、この家の外飼いの猫かもしれないし、ただの野良猫かもしれないが、警戒する様子もなく軒下に入ったのには訳があると思った。
「しろちゃん、生まれたお家に帰ったの?
それならもう、ママのところには戻ってこないかもね。
ママはさっき、しろちゃんの足に痛いことをしちゃったもんね。」
悲観的な思いばかりが頭をよぎる。

「てくび~、手首から血が出てるから、それを洗ったほうがいいよ~。」
Mさんにフェンス越しに言われて、改めて自分の手首を見る。
穴が手首の上下に4つ、しっかりと猫の牙の位置であいていた。
大事な血管が切れたわけではないが、血が流れ出て滴っていた。


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「僕だって男の子です。
やるときはやりますよ。
悪い人は噛んでひっかいてやります。」

あの~ママを噛んだわけですが…
脱走1ヶ月半前のしろちゃん。


一旦失敗した捕獲は、二度目はなかなか難しいことはわかっていた。
大好きなきびなごも、しろちゃんにはもう魅力的ではないのか。
冷静になって思い返すと、しろちゃんはママのことが怖かったのだと思う。
いつもしないようなことをした…血が流れている…。
噛んだのは自分だけど、起きている事態が怖かったのだと思う。
「そう遠くへは行かないはずだから、一旦家に帰って、家に戻す工夫をしたほうがいいわよ。
外で捕まえるのは無理よ。
家に帰って、出入り口を開けて待ってみたら」
フェンス越しのMさんの説得に、私は腰をあげた。
日曜日の午前中の静かな住宅地の路地での流血の惨事を、誰も見ていなかったことが幸い。

自宅に戻り、メモを書いた。
ネットで見ていた、するるさんの迷子の白い猫しらすちゃんの迷子記事が、鮮明に脳裏の中にあった。
いつかは、彼女に頼る日がくるかもしれないと思った。
残念ながらパソコンも荷造りしてしまったので、メモ帳に手書きで簡単なことだけ書いた。
名前 しろちゃん
性別 ♂
年齢 2歳
白猫、尻尾は15センチ程度、首輪はグリーン。
自分の氏名連絡先を入れて、5枚程度書いた。
手が震えていたので、オバケが書いたようなメモ書きとなった。

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「うらめしや~~」
オバケのようなしろちゃんだった。
脱走1ヶ月半前のしろちゃん。


Mさんのお宅に再度出向いた。
しろちゃんの入り込んだはす向かいのお宅にまず先にメモを渡すよう、促された。
Mさんにはお付き合いは無いそうだが、たまたま偶然、そのお宅のご主人が出てきて、庭のフェンス越しに簡単な事情の説明とメモを渡すことができた。
「その傷、早く洗って消毒したほうがいいわよ。
猫に噛まれることを侮ってはダメ。
それからね、気持ちはわかるけど、今日はあなたが家に居なくちゃ。
引越しで、それじゃなくてもいつもと違う様子の家にあなたが居ないと、しろちゃん怖くて帰って来れないよ。
しろちゃんが最初に家に入って来た出入り口を開けておいて、そこにあなたが居て待つことね。」

「毎晩、一緒に寝ていたんですよ~抱いて寝ていたんですよ~私には、かけがえの無い存在なんです。
今言ってもしかたないことを、Mさんに向かって言いつつ涙がポロポロとこぼれた。
「日が暮れたら、帰ってくるかもしれない。
うちのノンちゃんが、連れて帰ってくるかもしれない。
ノンのほうが兄さんだから、しろちゃんを家に帰るよう説得してるかもよ。
猫ってさ、猫同士で話すのよ、猫同士、友達を大事にするからね
もしうちに連れてきたら、中で保護しておくね。
大丈夫、帰ってくる、こんなにあなたが想ってるんだもの、しろちゃんもわかってるって。
野良猫さんに戻ろうなんて思ってないって!
ただ、家が騒がしいので、怖くて戻れないだけよ。」



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「だってだってさ、ノンちゃんにさよならを、僕は言ってないんだよ。
ママ達があらかじめ、引っ越すよって、僕に詳しく親切丁寧に教えてくれればよかったんだ
そのときの僕には、ノンちゃんはかけがえのない友達で、たった一人の友達だったんだ!」

脱走1ヶ月半前のしろちゃん。


猫のベテランのMさんの優しい慰めの言葉に、涙がグングンと溢れてくる。
今まで、ご近所さんとしての連絡事項程度しかお付き合いの無かったMさんが、こんなにステキな人だったなんて!
猫ちゃんのつむぐ絆に、私はかなり救われた。

引越しの進展具合は何もわからないが、ハチャメチャ&半分がらんどうになった家の中に戻った。
傷を水で洗って、タオルを巻いたが、血がなかなか止まらない。
お腹も空かない、喉も渇かない。
エアコンも無い真夏の家の中なのに、暑さも感じない。
記事に時間の記載がないが、この日の時間の流れがまるでわからないのだ。
しろちゃんがいないということは、私にとっては、自分の存在のコンパスをなくすようなことだった。
しろちゃんが、いつしか自分が生きている証になっていたのだ。


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「僕がママの生きているアカシ?
それは僕も責任重大ですね。
軽率な行動は今後つつしみますm(__)m
どんな人もどんな猫さんも、みんな誰かの生きているアカシなんですね。
一人では生きられないし、誰かの生きているアカシにならなければ、
生きている価値も無いってことなんですね。」

昨日現在のしろちゃんは、少しはお利口さんになったかな。

またまた続くになってしまいました。


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引越しの思い出 その3 ノンちゃんにさよならを…後編1

2011/04/20 Wed

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「だからね、ママ、あれは脱走でも失踪でもないんです。
人聞きが悪いこと言わないでくださいね。
僕は、引越しをしてしまう前に1回だけでも、ノンちゃんと遊びたかったんです。
ノンちゃんにさよならを、ちゃんと告げたかったんです。
またいつか会えるよね?って、ノンちゃんに約束したかったんです



天気予報では、完全な晴れと言った気がするのだが、怪しい雲行きの調布の午後だ。
今日は薄ら寒いが、春はとっくに過ぎようとしていて、若葉の季節がやってきている。
春の始まりから若葉の季節の到来を、穏やかに堪能できないなんて…。
桜は咲き通りすぎ、若葉はそこに芽吹くけれど、余震、地震はやまない。
原発事故問題も、収束に向かうどころか、道筋も判然としない。

しろちゃん、脱走、失踪エピソード記事の続きを書こうと思う。
私としろちゃんのまだまだ短い歴史において、最も悲しかった脱走エピソードだ。
腹壁ヘルニアの手術が不可欠となったことも悲しかったが、手術という手段で、有意なる希望だけは一応持てるという意味では、脱走よりはまだマシだ。
脱走、失踪は、日常生活の中で十分に起こりうること。
原発事故のように、「想定外だった」などと後で言ってみても、自分に対しては虚しいだけ。
想定外を想定し、皆さんもくれぐれも気をつけて!
今でもまだ、たまに夢に見る。
夢に見て、夢の中で泣き、大汗をかいて、そばにいるしろちゃんに触れる。
そのたびに、ママのベッドの中で安眠を妨げられ、ギューっと身体のどこかを掴まれてしまうしろちゃんには、気の毒だが。


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「新しいお家に、僕はちゃんとなじむつもりです。
だって、ママとしろパパさんの、運命共同体ですからね、僕は」

2009年初秋、引越し当初のしろちゃん。


あくまでも、自己満足の記録であるので、おこがましいですが、
わけがわからないので、わけがわかりたいと思ってくださった方は、
引越しの思い出 その1 脱走と言わないで!
引越しの思い出 その2 外出と言ってよね。
引越しの思い出 その3 ノンちゃんにさよならを…前編
お手数ですが、上記のリンクをどうぞ。
私の失敗から得た教訓が、愛しい猫ちゃんとの生活の参考にでもなれば幸い…。


Mさん宅のお庭のフェンスの向こうの路地にしろちゃんがいる!
黒猫ノンちゃんと一緒に、アスファルトの感触を確かめるように、ペタンと腰を下ろしている。
夏の終わりの熟れたような日差しは、午前中だからまだアスファルトを熱しないのか。
私には、とても不思議な光景だった。
完全室内飼いの家猫にしてから、当然ながら、外に居るしろちゃんを見たことはないのだ。
まるで昨日までそうだったというように、ノンちゃんと二人、ノホホンと座り込んでいる。
ノンちゃんは出入り自由な子だから、それが当たり前の光景なのだろうけど…。


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「ああ、僕のお友達黒猫ノンちゃん、思い出すだけで涙が出ちゃう僕なんです


お利口な黒猫ノンちゃんは、基本的にはお家の中で暮らし、遊びたいときだけお外に出てくる。
玄関にしつらえた猫ドアを潜り抜けて…。
それにひきかえしろちゃんは、外に出さない執念の努力を私達が重ねて、やっと外を諦めてくれた子。
あんなにママを求めて探して、あんなにお家の猫になりたかったくせに、「完全なお家の子になっても外には自由に行けるもの」と、当初は思っていたらしいのだ。
「絶対に行っちゃダメですよ。」と言い渡されると、怒って泣いた。
窓にしがみついて、「テリトリーの問題があるから行かせてくださいと、せがんだ。
毎日毎日、玄関、外への出入り口をピリピリと注意して開け、窓の網戸は絶対に開けないことにし、網戸にしている場合、しろちゃん一人では絶対にその部屋にいさせないことにしていた。
人にとっては、急に不便な生活になったが、しろちゃんは、不便な生活に引き換えて余りあるほど、私には大切な存在だ。
のどかな場所と違って、調布あたりの住宅地では、交通事故に遭う猫ちゃんが多い。

完全にお家の中で暮らすようになって、野良猫さん時代の汚れが日に日に落ちていったしろちゃん。
白猫の本来の白さを取り戻したしろちゃんは、引越しの日までで完全家猫歴約9ヶ月。
お風呂に入らないしろちゃんは、その汚れのすべてを、家具や寝具や私達の衣服に移動させた。
私のベッドの枕の横に敷いたしろちゃんの猫毛布は、毎日汚れで黒くなるが、その真横に、ママは平気で一緒に寝ていたのだ。
とにもかくにも、信頼関係を築くことが大事。
その積み重ねで、しろちゃんが白くなった。
きれいな白猫ちゃんじゃなくちゃ嫌、というわけでは全然ない。
どうしても白猫ちゃんがよかったわけでもない。
しろちゃんが、汚れの衣服を脱ぎ捨て、自分自身の持つカラーに戻っていくことがうれしかった。


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「僕はそんなにきったなかったわけ?
ママはそんな僕を、お風呂にも入らないままの僕を、自分のベッドに入れて毎晩一緒に眠ってくれたよね
野良猫さんと家猫さんの間の、出たり入ったりのときから、ママは僕と一緒に寝てくれたよね~僕はよく覚えてるよ。

結局、家猫になっても、お風呂には絶対に入らないつもりのしろちゃんなのだ。

「あの~このフェンス、登って超えちゃっていいですか?」
Mさん宅のお庭は路地のどん詰まりにあたるのだが、そこはお庭の裏なので、出入り口が無い。
目の前の路地に出るには、大きくロの字に迂回するしかないのだ。
コの字ではない、ロの字である。
ロの字の中の家は庭で接しあっている。
ロの底辺は市道でロの上辺は旧甲州街道。
しろちゃんの要る場所まで迂回するには、3分はかかる距離だ。
「登って超えたって、うちはかまわないけど、無理だと思うわ。
あなたが怪我でもしたら、元も子もないじゃない。」
年上のMさんに説得されて、迂回することにした。
自分にできることと、できないことの区別も、パニックになってる私には無かった。
しろちゃんをこの手に取り戻す。
その一念が、火事場の馬鹿力的な魔法を私にかけていた。
「迂回します。」
しろちゃんの大好物のきびなごの煮干(今は禁止)の大袋を持って、私は走り出した。


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「新しいお家も住めば都さ
右腹部に、まだ腹壁ヘルニアの膨らみのある頃の写真。


午前とはいえ夏の日差しにジリジリと腕が暑い。
日曜日なので、住宅地はとても静かだ。
そこを、切迫した私が、悲壮な面持ちで小走りで通り過ぎる。
3分の間に、ものすごくたくさんのことを考えた。
人は緊急事態に陥ると、脳が麻痺するか、またはその反対に瞬時に急激に回転するらしい。
※まずは冷静になろう、この手で捕まえる勝負は今日一日しかないのだ。(引越しだったから)
※捕まえられなかったら、お庭で待とう。
2~3日中に退去しなければならないが、そのギリギリの時までは、電気もガスもとめてしまった家だけど、篭城しよう。
※しろちゃんはきっと帰ってくる予感がする!
あんなに愛情を注いで生活していたのだ、外のほうがいいわけがない、家の中に戻ったときのうれし涙を想像しよう。
※でも、しろちゃんは元野良猫さん、外の生活がやっぱり好きなのかもしれない。
一度でも出てしまったら、もう家の中に閉じ込められる生活には戻りたくないかも…。
※このお家を目指してお庭からやってきたしろちゃん。
本当はママ達ではなく、このお家が好きだったんだね、引っ越して行く先の見知らぬお家へは、行きたくなかったんだね。
※しろちゃんをこの手に取り戻すこと無く、次の引越し先へ行かねばならない時限が来たら、私はどうする?
生きていたくもないな。
グルグルグルグル、頭の中を考えはめぐり、心臓はパクパクしたままだ。


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「お引越しでは、色んなご心配おかけしました。
ママよりお家が好き!なんてこと、あるわけないでしょ。
猫は家につくって、あんなのウソですから
お引越しだって、猫にもわかるように説明してくれれば良かったんですよ、ママ

引越し先を探検するしろちゃん、本当は相当ストレスフルな気持ちで、胃腸薬↑探してたんじゃないの?
そこの上にキャベジンありますよ~。

迂回して、Mさん宅の裏側に出て、しろちゃんに声をかける。
きびなごを差し出す。
しろちゃんもノンちゃんも一緒に食べた。
山のように道路に積まれたきびなごの前で、無心に食べている。
目の前に、脱走したしろちゃんがいるのだ!
素直な気持ちで、私はしろちゃんの不意をついて、抱っこして立ち上がった。
温かく柔らかい感触が、私を焦らせた。

抱っこして、どうっしようというのだろう。
抱っこが嫌いなしろちゃんは、我慢できても1分程度。
そのしろちゃんを、抱っこしてまた迂回路を戻るつもりだったのか。
一旦、旧甲州街道まで出なければならない帰路を。
パニックになるとはこういうことだ。
その先の見通しがたってない。

しろちゃんが、私の腕の中から逃れようと身をよじり始めた。
足の一本も折れたって、しろちゃんを失うことよりはマシ。
そう思って、ギューっと、両手両足を握り締める。
しろちゃんは、怒っているときだけの低い声で泣く。
「かじるぞ~と手首に甘噛みを繰り返した。

カプリッ

その音をはっきりと聞いた。
しろちゃんの上下の牙が、私の右手首にしっかりと食い込んでいた。
本気噛みって、こういうことなんだ。
感心しつつ流れてくる自分の血をママは見ていた。
しろちゃんの両足、両手を握ったままで…。

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「あぁママ~ごめんなさい。
僕のお口の中に、ママの手首が横向きにすっぽりはまってたね
ママの目からは透明な涙、ママの手首からは赤い色の涙が出ちゃったんだよね。
ちょっと苦い赤い色の涙がいっぱい出たから、僕はもっとビックリしちゃったんだ。
そんなつもりじゃなかったんだ。
ママが病院でチックンすることになるなんて、僕、思ってもみなかったんだ。

それもまた、想定外だったのかね?しろちゃん。

最も悲しかった経験を書いている。
「迷子猫ちゃんたちが、1日も早くお家に戻れますように!」と、祈る気持ちで書いている。
長いけど、また続くです。


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引越しの思い出 その3 ノンちゃんにさよならを…前編

2011/03/09 Wed

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「お友達ってとても大事。
出会いはとてもうれしくて、別れはとても悲しいね



今日の調布は晴れているが、風が強くて冷たい。
吹き飛ばされそうだけど、毎日洗濯物を干さなければ気がすまない。
毎日取り替えるしろちゃんの猫用毛布を、お日様の一番あたる場所に干す。
子供の頃私は、洗濯物に残るお日様の匂いを母親の匂いだと勘違いしていた。
「洗ったパジャマはお母さんの匂い」と言う題で、作文にも書いた。
しろちゃんも同じ題で、作文でも書いたらどうよ!


お庭に出したテーブルにご飯とお水を用意してから、私はまず、2軒先のMさん宅を訪問した。
しろパパさんは、実家に永らく一人住まいで、近隣とのお付き合いがほとんどない。
しかし、Mさん宅には黒猫のノンちゃんが居る。


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「ノンちゃん、楽しかったよね~毎日お話いっぱいしたよね
それ、スコ座りのつもり?
イマイチだねー。


ここでノンちゃんのことを記しておきたい。
ノンちゃんが、引越しの際の脱走騒動の良い意味でのなのだ。
ノンちゃんはしろちゃんと対照的な真っ黒猫さんで、2歳年上のお兄さん。
去勢済みで完全な家猫さんとして暮らしていたが、「毎晩お外に出してー」となきわめき、とうとう2階のベランダから無理やり飛び降りて怪我をするという事件が起こった。
猫ちゃんのベテラン、ノンちゃんママさんは、「こりゃ閉じ込めはダメだわ。」と思ったそうだ。
決して遠くへは行かないノンちゃんの性格を見極めた上で、出入り自由の猫ドアを玄関に設けた。
ちょうど、しろちゃんを完全な室内飼いにしたのと同時期で、しろちゃんとはすれ違いだ。
ノンちゃんは、毎日最低1回は、しろちゃんに会いに来る。
リビングの窓のところで、「しろちゃん、居る~?」と優しい声でしろちゃんを呼ぶ。
この声をお家のどこからでも聞き分けるしろちゃんは、ソワソワと窓辺にやってくる。
「ママ~しろパパさん、ノンちゃんが来たよ~開けてくださ~い!」
ガラス戸を開けてというのだ。(網戸を開けたら、しろちゃんは必ず外に出るからダメ!)
ちょうど窓の下にはテレビ台が捨て置いてあって、その上にノンちゃんは上がって、しろちゃんを呼ぶのだ。
網戸ごしにだが、ノンちゃんとしろちゃんは、お互いの匂いを嗅ぎあい、毛の触れ合う距離で長いことおしゃべりをする。
ノンちゃんがそこでお昼寝をすれば、しろちゃんも網戸のこちら側でお昼寝をしたい。
ノンちゃんが立ち去るまで、しろちゃんはそこを動かない。


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「ノンちゃん、会いたいです。。。
会いにいけない距離じゃないから、歩いて会いにゆくね…って、うちの場合ママがうるさいからダメか
今夜も猫バンドで、秘密の話を話そうね。




しろちゃんの唯一のリアルな網戸越しの猫友達だったんだね、ノンちゃんは…。
しろちゃん、去勢後にせっかくできた優しいお友達ノンちゃんに、二度と会えなくしちゃって、ママは本当にごめんなさいm(__)m
謝っても謝りきれないよね。
お友達がどんなに大事なものか、ママにはよくわかってる(泣)
これからは、コメントをくださる皆さんの沢山の猫ちゃん達が、しろちゃんのお友達だから。
しらすちゃん、おはちちゃん、昆布ちゃん、カイ君、アンちゃん、メイちゃん、つくねちゃん、ぷーちゃん、ちよさんとこの猫ちゃん、ちいちゃん、にゃんたさんとこの猫ちゃん、リリーちゃん、ビクちゃん、パンちゃん、すうちゃん、もっともっと…もっとかな。(登場順です)


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「そうそうそうなんだよ
1年生になった~ら、トモダチ百人作るんだ
猫ちゃんのお友達、いつもありがとう

ありがとうは、三つ指ついて言うのが礼儀じゃないの?


そのノンちゃんのママさんに、ことの次第を相談すべく、日曜日の朝だというのに私は玄関のチャイムを押した。
頼れるご近所さんは、Mさんしか居なかったのだ。
ノンちゃんママさんは、慌てて声も上ずる私をとても理解してくれた。
背中に手をあてて、「あなたがまずは落ち着いて…ママが動揺してると、猫ちゃんも動揺するから。」と言ってくれた。
「しろちゃんね~必ず帰ってくるわよ。
あなたがどんなにかわいがってるか、私にも伝わるもの。
だけど、それはだいたい1週間単位のことかもしれない。
引っ越してしまうんだから、どうやって再会するかってことが問題よねえ。
毎日ここに通うしかないね。
私も、しろちゃんが来たら、私の家の中に入るように導いてあげる。
しろちゃんの好物のおやつを私にもちょうだい。
ノンちゃんに、一緒に連れて帰って来るようにお願いしとくね。
まずは今日、ノンちゃんのキャリーを貸してあげるから、おやつで釣ってみて!
あそこのお宅に、一声かけて電話番号を渡しておいて!
とにかく今日一日を、待ってみましょうよ。」

私より年上のノンちゃんママは、とても心強くて、私はポロポロと涙をこぼして泣いてしまった。
日曜日の朝、よそのお宅の玄関先で、いいおばさん二人が抱き合って泣く。
なかなかありえない光景だ(笑)


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「どんな恋にさよなら言うよりも、おとこ~たちの、別れはさびしいと~~♪」
しろちゃん、YAZAWAの歌、知ってるんだ
ていうか、YAZAWAの歌を歌うしろちゃん、男っぽい
「しろパパさんに、イヤってほど聴かされてるじゃん、ママ
YAZAWAの歌を歌うしろちゃん、男っぽいから嫌いだ、ママは。


8月の終わりで、ひどく暑い日だったが、私には暑さの記憶もない。
引越しの日とあって、着ているものはボロのTシャツ一枚とaddidasのジャージ。
もちろんすっぴんで、裸足でスニーカーを履いている。
この格好で、ご近所を歩いて回るしかないのだ。
夜になっても、着替えは引越し先へ運ばれて、何も無い。
家のエアコンも、取り外してしまって、一台も無い。
ママは何だってするさ、しろちゃんのためだもの。
そして大人二人のミスだもの。
恥ずかしいことなんて、ないさ。

込み入った住宅地の路地、Mさん宅の裏塀の向こうに、ノンちゃんと一緒にしろちゃんが姿を現した。
まるで、昨日もこうだったというように、仲良く寄り添って遊んでいる。
道路に転がって、ノンちゃんの足元にクネクネするしろちゃん。
しろちゃんを、優しい目で見下ろすノンちゃん。

「あの二人、1回は一緒に遊びたかったんだね~。
網戸ごしにしか、会ったことないんだもんねえ。
きっとノンちゃんが、そのうちに連れて戻ると思うよ。
そういえば、しろちゃん、お宅に居たのね~。
私、コロッコロの子猫のときに目をつけてたのよ。
かわいいもんね、しろちゃん。
そうかお宅の猫ちゃんになってたんだ

悲しい涙の上にかわいいと言われたうれしい涙が加わって、もっと悲しくなったママだっだ。

またまた続く。


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「ママ~うれしいことも悲しいことも、いっぱいあったよね~
これからも、思い出はママと一緒だね。

アニメみたいに、目から☆が飛び出してるよ~しろちゃん。


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引越しの思い出 その2 外出と言ってよね。

2011/03/08 Tue

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「脱走なんてするわけないじゃん、お引越しでママとしろパパさんが忙しそうだから、ちょっと外出したんだよ


昨日の天気予報から、今日はもっと晴れるかと思ったのに、曇ったり晴れたりを繰り返している。
春は、急にやってくるよりは、ためらいがちにやってくるほうが春らしい。

引越しの朝、私の腕をすり抜けてジャンプして走っていったしろちゃんを、しろパパさんが追った。
裏庭の棕櫚の木に、爪をかけて一気に上っていったそうだ。
とても手の届かない高いところまで…。
「ダメだ、捕まえられない。
私は普段低血圧なほうだが、しろパパさんの報告を聞いたこの時は、身体中の血液がザーッと下がり、またザーッと上がったのがはっきりわかった。
ヘナヘナと身体中の力も抜けていったが、ヘナヘナとくず折れるわけにはいかない。
目の前に立っている引越し業者と挨拶を交わし、今日一日の流れみたいなものを説明されなければならなかった。
「あなた達が急に入ってくるからーーー!」と怒りが爆発しそうだが、彼らが、走り去った白猫が私達にとってどんな重要なものなのか、知るわけもない。


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「つくねちゃんとこから来た、栃木生まれのライオンさん、こんにちは


さっそく引越し作業が開始するのだが、私は引越し作業のほとんどを知らない。
朝の8時45分から日の暮れかかるまで、しろちゃんを再びこの手に取り戻すことだけに専念した。
私としろパパさんの二人住まいで、どちらかが立ち会わなければ成り立たない引越しに、しろパパさんに専念してもらうことになった。

この日が引越しの日でなければ、しろちゃん探しにこんなに慌てはしなかった。
心理的には慌てたと思うが…。
運の悪いことに…ではなく、引越しの日だからこそ、ハプニングが起きる。
万全の準備をしていたつもりだが、ほんの一瞬のうかつなことで、準備なんて何の意味もなくなる。
魔がさすとはこのこと。


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「ちび~なライオンさん、かわいいですね~ガブガブーーーッ
しろちゃんは、ぬいぐるみをかわいがるってことを知らないねえ~


元々が家の周辺に居た野良猫なのだから、土地勘もお外での過ごし方も何もかも、心得ているはずだ。
ほんの1年前までそうであったように、お腹が空いたり遊びに飽きたら、家に戻ってきたであろう。
ほんの1年前の状態に戻っただけのことなのだ。
そう自分を励ましたいが、この日は引越し。
平穏に何も変化の無いことを好む猫ちゃんには、精神的にヘビーな日。
家に多数の人が出入りし、家具が運ばれ、室内外の様子は一変してゆく。
それに加えて、
なんと2~3日後には、ブルドーザーが入って解体作業が始まる。
解体作業の後には更地に整地する。
帰ってこようにも、帰ってくるお家そのものが無くなってしまうのだ。(泣)


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「よーくお顔を見せてみなさい~ケリケリケリッ


今日一日と今夜一晩しか、猶予はなかった。
「しろちゃんが自力で帰ってくる、もしくは捕獲できるまで、私はここを去らない」とどんなに強く言い張っても、ここ、そのものが、居られない状態になる。
「お家と一緒に永遠にさようならか。。。」
「引越したくなかったしろちゃんなんだな。。。」
などなど、マイナスな言葉がしろパパさんの口から出るのを忌々しく思うが、それがしろパパさんの精一杯の悲嘆の表現なのだろう。

我が家の棕櫚の木に、再度見たとき、もうしろちゃんは居ない。
2階から隣家のうっそうとした庭を見渡した。
隣家との境には塀はなく、うっそうとした木々で庭がつながってしまっている
いたいた!
真っ白だから、緑の中に埋もれていてもすぐわかる。
うれしそうに、身体も埋もれる雑草の茂る中を、スンスンと草花の匂いを嗅ぎつつ歩いてる。
「しばらく会えなかったね、草さん」というように、あっちもこっちも挨拶して回ってる。
呼べば振り向くが、久しぶりのお外の刺激に、ママの愛情なんて簡単に負けちゃってるのだ。
ママが2階から呼んでいるうちに、しろちゃんはさらに遠ざかってゆく。
人が通れない家と家との間の隙間を通って、どこかに消えた。
「し~ろ~ちゃ~ん
ママはまたあの日のように、近隣もはばからず大声で呼び続ける。


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「ママったら、僕は恥ずかしいったらありゃしない。
友達の黒猫ノンちゃんも一緒にいたんだよ~。
『しろちゃんのママって優しいって聞いてたけど、本当はヒステリー?』って聞かれちゃったよ

そんなヘビのような怪しい目で見ないで~!
「ヒステリー」って、ママと暮らすしろちゃんも、使う言葉が相当古くなったねえ。


たまたま捨てるために、隣家との境にダイニングテーブルが出してあった。
そのテーブルに、少量のカリカリの入った餌皿と、大好きだったきびなごの煮干(今は禁止)を数本並べた。
お水も、いつも飲んでいる花瓶に入れて出した。(しろちゃんは花瓶かボールでお水を飲むのだ。)
食の細いしろちゃんが、カリカリで釣れないことは良くわかってる。
ママの心としては、とにもかくにも、お腹が空いてはかわいそう、喉が渇いてはかわいそう、それだけだった。
少量しかカリカリを置かないのは、何度も食べに来させるためだ。

仮に、もし仮に今夜この腕に帰ってこないとしても、愛しい子にひもじい思いはさせたくない。
…この思いは、もしかすると反対の効果を生むことになるかもしれない。
「ひもじいから帰ってくる理論」も確かに正しい。
というか、それこそが猫ちゃんをお家に帰らせるためのマニュアルだろう。


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「ひもじいのはホントに悲しいよ~ライオンさん、食べちゃうぞーガブガブガブーーーッ」
ここで、狩りのシミュレーションをしながら平和に遊ぶしろちゃんを、ママは見るだけで十分。


母親だと名乗る二人の女性が、一人の子供をめぐって争う説話をご存知だろうか。
立会い人
「では、二人で両側からこの子を思う存分取り合いなさい。」
母親と名乗る二人の女性は子供の腕を両側から引っ張りあう。
我こそは、我こそはと、両側から力いっぱい引っ張り合う。
子供は腕を引っ張られて、とうとう痛くて泣き出した。
片方の女性が、その泣き声に腕を放した。
腕を放さなかった女性のほうが、「ほうら私こそが真の母親」と誇らしげに笑う。
立会い人は、子供の腕を放したほうの女性を、真の母親であると認めた。
「真の母親ならば、子供が痛くて泣く声に、それ以上は腕を引っ張れないはず!」

人の子供の母親になったことは無いが、猫ちゃんの母親に、私はこの日、立会い人に認められた…かもしれない。

長くなるので、ここで失礼。


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「うんうん、ママはこの後、道路の上で1回僕を捕まえたけど、放しちゃったんだよね。
僕の脚が折れるかと思って…。
ママ、ちょっと外出って説明できないから、僕はもう外出はしません、悲しい記憶の夢をもうママに見せたくないもん



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引越しの思い出 その1 脱走と言わないで!

2011/03/07 Mon

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「寒いね~ママ~一緒にお蒲団の中に入らない?
もうじき雪やコンコンが来て、雪だるまさんが歩いて来るよ~起きてると怖いよ~



昨日はあんなに暖かだったのに、今日午前中には雪が舞い、今年は激しい三寒四温。
日本もなんだか大陸性気候になってきたような気がする。
今夜また降る予定の雪を控えて、調布はイギリスのどこかの街のように、モノトーンの中に沈んでいる。
こんな色合いの日には、梅の花の色が冴える。
白猫の白も、こんな日には冴える。

迷子の白い猫しらすちゃんをはじめ、迷子の猫ちゃん達が一日も早くお家に帰れますように!
そしてお家に帰ることができたぴぐみい日記の白猫あいちゃん、本当に良かったね
もちろん、白猫さんに限らず、迷子の猫ちゃんの話はいつも胸に痛い。
そんな思いもこめて、しろちゃんの思い出話、引越しに伴う脱走?ハプニング劇を記しておく。

思い出話をするようになるってことは、歳を取った証拠だとか。
まあ、いいじゃないか、ママ自身の思い出話じゃないんだもの。
「バブルの時代はねえ~そりゃあなた、豪勢なもので…」と、ちょっと話してみたいママでもあるが…(笑)


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「僕はどこでしょう???
蒲団カバーと羽毛布団の間に挟まって、しろちゃんご機嫌でしょうけど、蒲団カバーをかけるには邪魔なんですよ


しろちゃんは、完全室内飼いの去勢済み家猫さん(元野良猫には、こういう紹介のしかたがある)になってから、脱走ハプニングがある。
脱走というと、猫ちゃんの意思、それも強い意志だけで出かけたように聞こえるが、正確には、違うだろう。
逃がしてしまった…も違う。
本能の何かに従って、または好奇心に従って、またはほんの息抜きに、猫ちゃんは出られる隙と隙間があれば、お外に出てみたい生き物だ。

我が家では、2009年の8月の終わりに引越しをした。
ボクシングジムと自宅が同じ敷地内にあったのを、ジムリニューアルに伴い分離したのだ。
ボクシングジムは駅前に、自宅は隣駅近くに…と。
私もしろパパさんも、ありとあらゆる荷物をすべて運び出すような本格的な引越しは、生まれて初めての経験だ。
頭の回線がショートするような忙しさの中、しろちゃんのことも考えなければならない。
引越しの済むまで、しろちゃんをどこに居させるか、家中の騒ぎに動揺しているしろちゃんを、うまく運ぶことができるのか、引越したあとの住居に怯えはしないか。
ママとしては、食器を段ボール箱にしまったりしつつ、「しろちゃん引越し大作戦」を頭の中で考えてばかりいた。
当初は、ペット連れ引越しのマニュアルどおり、バスルームに閉じ込めて、最後の最後にそこから引き出すという案、または掛かりつけの病院がペットホテルを兼ねているので、そこに預ける案が私の中で!有望だった。


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「ム~ン、この薄暗さ加減とフワフワ加減とこもり加減が最高なんだあ、ママもおいでよ~



「あっそうだ、ジムがあるじゃないか!」
自宅より数日前に引越しの済んだジムが、ガランと空いているわけだ。
しろパパさんの発案により、「使われていないジム閉じ込め案」に決定。
閉じ込めといっても、ジムそのもの全体に閉じ込めではあまりに広すぎて、捕まえるに捕まえられなくなる恐れあり。
ネットで、2階建てのかなり広いケージを購入した。
駅前のリニューアルしたジムが休まずに稼動しているので、眠る時間も削るような忙しさの中、引越しの前日夜中にしろパパさんがそのケージを組み立て(知恵の輪のようにややこしい組み立てだった)、2階部分のトレイにタオルを敷いて寝床を作り、トイレを1階部分に入れて、大きな扇風機の前に設置。
暑い夏で、毎日クラクラだった。
ボクシングジムというのは、プロ選手を抱えている以上、週1回の定休日以外は休めないものなのだ。
試合を間近に控えていようがいまいが、プロ選手の過酷な練習は、6日続けて1日休むというリズムの積み重ねで実績となる。(アベボクシングジムの場合)
1日以外の休みを取れば、その1日分を取り戻すには、3日はかかるだろう。


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「しろパパさん、お仕事ご苦労様ですm(__)m
僕はヌクヌクのフワフワのモコモコでママと寝んねです



汗だくでケージを組んで、つかの間の睡眠を取り、引越し当日が来た。
引越し業者が9時に来るということだったので、8時半頃にしろちゃんをキャリーに入れて、ジムのほうへ移動するつもりだった。
引越し業者は予想以上に早く到着。
「しろちゃんをまだ移してないじゃん!」
アタフタアタフタ、私としろパパさんは慌てまくる。
「玄関からジムまではほんの数歩なので、キャリーに入れなくても抱っこでいけるんじゃないの?」
この思い込みが甘かった。
どっちがそう言った…とは敢えて言わない。

私がいつものように抱っこして、足と手を2本ずつ自分の手に握って玄関を出たことは確かだ!
ほんの数歩!
だけど、玄関を出た目の先には、屈強な引越し業者の男性が4人、こちらに向かって歩いてきていた。
手に、紐や段ボールや毛布をかかえて…。

「ギャー
「キャー


しろちゃんは体をくねらせて、ママの腕をすり抜け、握った手からジャンプして、庭の方向に走っていった。
あっと言う間よりもっと早い、ほんの一瞬の出来事だった。

引っ張るわけじゃないけど……続く。


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「怖かったんだよ、引越しのお兄さんたち、ムチみたいなもの持ってなかった?
さすがにムチは持ってないと思うよ~


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プロフィール

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Author:kakobox
東京都在住。
【しろちゃん】MIX白猫男の子11歳、天使年齢16歳♪
2007年2月14日生まれ(獣医さんが決めた誕生日)
お庭から、自分の足でやってきて、自分で自分のママを見つけたけなげな子。
野良猫→外猫→1歳半を超えてママの白い一人息子に!
腹壁ヘルニアで大手術、持病は猫ウィルス性気管支炎。
大人しく律儀で優しい、性格自慢な良い子です♪
2018年4月25日夕方、真っ白い羽根と緑の瞳を持つ天使に姿を変えました。

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